毎日のコーヒーが、実は最も手軽で強力な健康習慣かもしれません。
しかし、すべてのコーヒーが同じ健康効果を持つわけではありません。
2021年、ポーランドの科学研究チームがスペシャルティグレードのコーヒーを一般的なブランドと比較したところ、驚くべき事実が判明しました。
カフェイン含有量は同等ながら、抗酸化物質は30-40%多く含まれていたのです。
同時に、アクリルアミドや農薬残留などの有害物質は最小限に抑えられていました。
当記事は、スペシャルティコーヒーの健康効果に特化しています。
広域情報は『コーヒーの健康効果』がよく分かります。
スペシャルティコーヒー健康効果
スペシャルティコーヒー?という方は、『スペシャルティーコーヒーとは』をご参照ください。
抗酸化活性が一般コーヒーより有意に高い
2021年、ポーランドで実施された研究では、7種類のスペシャルティグレードアラビカコーヒー、1種類のロブスタ、2種類の一般的な安価ブランドを比較分析しました。
カフェイン含有量はスペシャルティコーヒーが平均56mg/ml、一般ブランドが40mg/mlと大きな差はありませんでしたが、抗酸化活性には有意な差が見られました。
最も優れていたスペシャルティコーヒーは、一般的なコーヒーと比べて約30%高い抗酸化力を示しました。
さらに、健康効果をもたらすポリフェノール含有量も約40%多い結果となりました。
この研究の結論は明確です。
スペシャルティ品質のコーヒーは、カフェイン過剰摂取のリスクなしに抗ラジカル保護効果を提供できます。
🧬抗酸化活性とは
体内で発生する有害な活性酸素(フリーラジカル)を無害化する力のことです。
フリーラジカルは細胞を傷つけ、老化や病気の原因となります。
健康効果を最大化するクロロゲン酸
コーヒーの様々な抗酸化物質の中で中核をなすクロロゲン酸(CGA)。
クロロゲン酸は、コーヒーの主要な抗酸化物質で、血圧低下、血糖値調整、抗炎症作用などの健康効果があります。
クロロゲン酸は焙煎温度に極めて敏感です。
230℃で12分焙煎すると約50%に減少し、250℃で21分では痕跡レベルまで低下します。
クロロゲン酸を意識した焙煎をするわけではありませんが、浅煎りから中浅煎り(ライト~ミディアムロースト)で仕上げるスペシャルティコーヒー。
結果として、クロロゲン酸の分解を最小限に抑えることに繋がっています。
有害物質が最小限
スペシャルティコーヒーの安全性
スペシャルティコーヒーの健康効果は、良い成分の多さだけでなく、有害物質の少なさにもあります。
アクリルアミドレベルが大幅に低い
2013年、ポーランド国立研究所の調査により、コーヒー種類別のアクリルアミド含有量が明らかになりました。
コーヒー代用品が平均818μg/kg、インスタントコーヒーが358μg/kg、焙煎コーヒーが179μg/kgのアクリルアミドを含有していました。
重要な発見は、焙煎度合いとアクリルアミドレベルの間に有意な負の相関関係があり、アラビカ種とロブスタ種の間に差はなかったという点です。
高品質アラビカ豆を高温で短時間焙煎し、短時間抽出する方法がアクリルアミドを最も低減することが科学的に証明されています。
農薬残留が極めて少ない
スペシャルティコーヒーが、無農薬で化学肥料を用いないことは周知の事実です。
伝統的な農法により、土壌の健全性を保ち、生物多様性を維持、環境に優しい持続可能なコーヒー栽培を実現しています。
ただし『ボリビアコーヒー』でも記載していますが、正式な有機認証を受けているという意味ばかりではありません。
認証機関への年間更新料や監査費用が高額であることに加え、主に農家が農薬や化学肥料を購入する経済的余裕がない。
さらには、山岳地帯の孤立した立地により農業資材へのアクセスが限られるなどにより、農薬や化学肥料をほとんど使用できない状況の場合も少なくありません。
しかしながら、結果として優れたスペシャルティコーヒーにつながっています。
農薬や化学肥料を大量に使用するコマーシャルコーヒーとは根本的に違う農作物なのです。
発がん性物質PAHsのリスクが極めて低い
コーヒーの焙煎過程では、多環芳香族炭化水素(PAHs)という発がん性物質が生成される可能性があります。
PAHsは不完全燃焼により発生する有害化合物で、実験動物で発がん性が証明されています。
研究では、焙煎度合いが深いほどPAHs濃度が高くなることが判明しています。
ライトローストで最も低く、ダークローストで最高値を示しました。
特に高温焙煎では、ピレンやクリセンなどの発がん性PAHsが260℃以上で形成されることが確認されています。
コマーシャルコーヒーでは、大量生産を優先するため未熟豆や欠陥豆が大量に混入します。
これらの欠陥豆の不快な味を隠すため、高温・長時間で過焙煎されることが多く、その過程でPAHsが生成されるリスクが高まります。
一方、スペシャルティコーヒーは完熟した赤い豆のみを手摘みし、収穫後も3回以上の品質チェックを経て、欠陥豆を徹底的に除去します。
350gあたり0~5個の欠陥という厳格な基準により、欠陥豆はほぼゼロに近い状態です。
さらに重要なのは、スペシャルティコーヒーは豆本来のポテンシャルを引き出すため、過度に深く焙煎しません。
浅煎りから中煎りの適切な焙煎により、PAHsの生成を最小限に抑えながら、抗酸化物質を最大限保持できます。
参照:PubMed、ScienceDirect、Purity Coffee ・・・ など
アラビカ種の健康優位性
スペシャルティコーヒーの主要品種
スペシャルティコーヒーに用いるアラビカ種は、ロブスタ種にはない健康メリットがあります。
トリゴネリンが豊富—認知機能と肝臓保護
アラビカ豆には、ロブスタ豆よりも有意に高いトリゴネリンが含まれています。
トリゴネリンは焙煎過程でナイアシン(ビタミンB3)に変換され、肝臓保護、心血管の健康、血糖値調整、認知機能のサポートに有益とされています。
この変換により、アラビカコーヒーは他の品種よりも顕著に高いビタミンB3含有量を示します。
ビタミンEとカフェイン含有量の最適バランス
アラビカ豆はロブスタ豆よりも高いビタミンE(トコフェロール)含有量を持ち、焙煎時の分解も少ないことが研究で示されています。
アラビカ豆のカフェイン含有量は1.2~1.5%(焙煎後2.4%)で、ロブスタ豆の約半分です。
適度なカフェイン量により、カフェイン過敏症の人でも楽しめる上、不安やイライラなどの副作用リスクが低減されます。
健康効果が高い
スペシャルティコーヒーを選ぶ
世界中の科学研究が一貫して示すように、スペシャルティコーヒーは一般的なコーヒーより明確な健康優位性を持っています。
2021年のポーランド研究で証明された抗酸化活性の高さ、専門的な焙煎技術による抗酸化物質の最大200%増加、アクリルアミドやPAHsなどの有害物質の最小化、そして農薬残留リスクの低さ。
さらに、アラビカ種特有のトリゴネリンとビタミンEの豊富さ、適度なカフェイン量による健康メリットと副作用リスクの最適バランス。
コーヒーの健康効果(心血管疾患、糖尿病、がん、認知症予防)を最大限に甘受するには、スペシャルティグレードを選ぶことが最も理にかなった選択です。