スーパーで当たり前に売っているカレールー。
でも『ルー』って何でしょう?
実はフランス語で『小麦粉とバターを炒めたもの』という意味。
1926年に日本で発明されたカレールーは、フランス料理の技法とインドのスパイスを融合させた画期的な商品でした。

しかし、その70~80%が小麦粉と油脂という体へ負荷が高い事実。
健康と美容意識の高い人々は別の選択を始めています。

カレールーの誤用

この『ルー』という言葉の本来の意味が広く誤解されています。

『カレールー』という言葉を聞いて、多くの日本人が思い浮かべるのは、スーパーで売っている固形やフレーク状の『カレーの素』、もしくはご飯に掛ける『カレーソース』でしょう。

しかし、ルー(roux)とは、フランス語で『小麦粉とバター(油脂)を炒めたもの』を指します。
フランス料理では、ソースにとろみをつけるための基本技法として古くから使われてきました。
ベシャメルソースやヴルーテソースなど、フランス料理の基本となるソースの多くにこのルーが使われています。

つまり『カレールー』とは、このフランス料理の技法である『ルー』に、カレー粉を加えたものなのです。
curry(英語)+roux(フランス語)という、いかにも文明開化後の日本らしい和製語と言えるでしょう。

🍛 カレールー本来の意味

カレー粉と小麦粉、油脂を混ぜ合わせた『カレーの素』(固形・フレーク状の製品)

『ルー大盛りで』『ルーが足りない』といった表現は誤用です。
正しくは『カレーソース』と呼びます。
しかし、この用法はすでに広く定着しており、辞書にも『カレーソースの意』として記載されるまでになっています。

北海道では、スープカレーと区別するために、従来のとろみのあるカレーを『ルーカレー』と呼ぶこともあります。
言葉は時代とともに変化し、新しい意味を獲得していくようです。

参考:HOUYHNHNMWeblio辞書

日本のカレー史を変えた1926年

日本にカレーが伝わったのは明治時代。
当初は西洋料理店で提供される高級料理でした。
家庭でカレーを作る際は、まず小麦粉をフライパンで炒め、そこにカレー粉を加えて『カレールー』を作る必要がありました。
この作業は焦がさないように注意が必要で、料理初心者には難しい工程でした。

転機が訪れたのは1926年(大正15年)。
浦上商店(現在のハウス食品)が『カレールウ 即席ホームカレー』を発売しました。
これは、あらかじめ小麦粉とカレー粉を炒めて固形にした画期的な商品でした。
翌年には『即席ハウスカレー』と名を変え、日本の食卓に革命をもたらしました。

その後、エスビー食品も参入し、各社が競って改良を重ねた結果、現在のような使いやすい固形ルーが完成しました。
野菜エキスや肉エキス、各種スパイスも配合され、お湯に溶かすだけで本格的な味が楽しめるようになったのです。

カレールーの功罪と代償

市販のカレールーは、確かに日本の食文化に大きな貢献をしました。
誰でも簡単に、失敗なくカレーが作れるようになったのです。
しかし、その便利さには代償もあります。

市販のカレールーの成分を見ると、その約70~80%が小麦粉と油脂で占められています。
1皿分のルーには約15gの油脂が含まれており、これはバター大さじ1杯以上に相当します。
また、化学調味料や添加物も多く含まれています。

これが『カレーは太る』『カレーは胃もたれする』というイメージの原因です。
カレー自体が悪いのではなく、大量の小麦粉と油脂が問題なのです。

スパイスカレーという選択肢

近年、この問題に対する答えとして注目されているのが『スパイスカレー』です。
ルーを使わず、スパイスと最小限の油で作るカレーは、1皿約200~400kcalと、ルー使用のカレー(約800kcal)に比べて大幅にカロリーが少なくなります。

また、小麦粉を使わないためグルテンフリーであり、血糖値の急上昇も抑えられます。
食後の眠気や胃もたれもありません。
これが本来のインドカレーに近い形なのです。

また前述にあるように、スパイスカレーを『ルー』と呼ぶのは明らかに不適切です。
小麦粉と油脂を使わないカレーに、『ルー』という言葉を使うのは誤りです。

カレールーの変化

カレールーは、日本が生んだ偉大な発明品の一つです。

一方で、健康志向の高まりとともに、従来のカレールーのあり方も見直されつつあります。
各メーカーも、油脂を減らしたり、化学調味料を使わない製品を開発したりと、時代のニーズに応えようとしています。

カレールーという意味も、これからさらに変化していくかもしれません。
しかし、日本人のカレー愛が続く限り、この不思議な和製語も生き続けることでしょう。

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