毎朝飲んでいるそのコーヒー1杯に、一体何粒の豆が入っているのでしょうか?
『そんなこと考えたことない』という方がほとんどでしょう。
実は、私たちが何気なく飲んでいる1杯のコーヒーには、思っている以上にたくさんの豆が使われているのです。
レギュラーコーヒーとエスプレッソでは数が違いますし、豆の大きさによっても変わってきます。
さらに、1粒の豆から実際にコーヒーに抽出される部分は意外と少ないという事実もあります。
今回は、普段は気にしないけれど知ると面白い『コーヒー1杯に入っている豆の数』について、詳しく解説していきます。
きっと次にコーヒーを飲むときは、豆の数を思い浮かべてしまうはずです。
一般的なレギュラーコーヒー1杯の豆の数
最も一般的な『レギュラーコーヒー1杯(約150ml)』に使われるコーヒー豆の数は、約70~80粒です。
これは、コーヒー粉として約10~12gを使用した場合の計算になります。
コーヒー豆1粒の平均重量は約0.13~0.15gなので、逆算すると70~80粒という数字になるのです。
豆の大きさによる違い
ただし、この数字はコーヒー豆の種類や大きさによって変わります。
大粒の豆(例:ブルーマウンテン、ハワイコナ)
– 1粒約0.16~0.18g
– 1杯あたり約55~65粒
小粒の豆(例:エチオピア、イエメン)
– 1粒約0.11~0.13g
– 1杯あたり約80~90粒
このように、同じ1杯でも使われる豆の数には意外と幅があることがわかります。
エスプレッソの場合はもっと多い
エスプレッソ1杯(約30ml)の場合、使用するコーヒー粉は約7~9gと少なめですが、細かく挽くため豆の密度が高くなります。
エスプレッソ1杯の豆の数:約50~65粒
エスプレッソ用の豆は通常、中~小粒のアラビカ種が使われることが多いため、1杯あたりの粒数はレギュラーコーヒーよりも少なくなります。
エスプレッソが濃い理由
エスプレッソが濃厚な味になるのは、豆の数が多いからではなく、以下の理由によります:
1. 極細挽き: 豆を非常に細かく挽くため、抽出効率が高い
2. 高圧抽出: 9気圧の高圧で短時間で抽出
3. 少ない水量: 30mlという少ない水で濃縮抽出
つまり、少ない豆から最大限の成分を抽出しているのです。
インスタントコーヒーの意外な事実
インスタントコーヒーの場合、話は少し複雑になります。
インスタントコーヒー1杯(小さじ1杯約2g)の場合:
– 元になったコーヒー豆:約15~20粒
– ただし、実際に手元にあるのは粉末状に加工されたもの
インスタントコーヒーは、一度コーヒーを抽出してから水分を除去して粉末化したものです。
そのため、元となった豆の数は比較的少ないのですが、濃縮されているので味は十分に感じられます。
世界各国でのコーヒー豆使用量の違い
国や地域によって、1杯のコーヒーに使う豆の量には文化的な違いがあります。
イタリアのエスプレッソ文化
イタリアでは1日に何杯もエスプレッソを飲むため、1杯あたりの豆の使用量は控えめです。
– 1杯あたり約6~7g(45~55粒)
– 1日5~6杯飲むことを前提とした設計
アメリカのドリップコーヒー
アメリカでは大きなマグカップで飲むことが多いため、使用する豆の数も多くなります。
– 1杯あたり約15~20g(100~130粒)
– 1日1~2杯飲むことが一般的
日本の喫茶店文化
日本の伝統的な喫茶店では、1杯をゆっくり味わう文化があります。
– 1杯あたり約12~15g(80~100粒)
– 丁寧にハンドドリップで抽出
コーヒー豆1粒の無駄のない活用
興味深いことに、コーヒー豆1粒から抽出される成分は全体のわずか18~22%程度です。
残りの78~82%は出がらしとして残ります。
抽出されない部分の行方
出がらしの成分:
– セルロース(繊維質)
– 一部の油分
– 抽出されなかった風味成分
有効活用方法:
– 園芸用の肥料
– 消臭剤
– スクラブ剤
– バイオマス燃料
このように、コーヒー豆は1粒たりとも無駄にならない優秀な農産物なのです。
豆の数から見るコーヒーの経済性
1杯のコーヒーに使われる豆の数を知ると、コーヒーの経済性についても考えることができます。
1粒あたりのコスト計算
スペシャルティコーヒー豆(100g 1,200円)の場合:
– 豆約700粒分
– 1粒あたり約1.71円
– 1杯(75粒)あたり約128円
コンビニコーヒー豆(100g 300円)の場合:
– 1粒あたり約0.43円
– 1杯(75粒)あたり約32円
このように見ると、高品質な豆でも1杯150円以下で楽しめることがわかります。
豆の数を数える面白い実験
実際に家庭でコーヒー豆の数を数えてみると、面白い発見があります。
簡単な実験方法
1. コーヒー豆10gを量る
2. 1粒ずつ数えてみる
3. 平均重量を計算(10g ÷ 粒数)
4. 1杯分(12g)の粒数を計算
この実験をすることで、普段使っている豆の特徴がよくわかります。
豆による違いの発見
実際に数えてみると、以下のような違いが発見できます:
– 形の均一性:高品質な豆ほど大きさが揃っている
– 欠け豆の割合:安い豆ほど欠けた豆が多い
– 色の均一性:焙煎の均一さがわかる
Coffee Navi 1粒1粒に込められた価値
コーヒー1杯に70~80粒もの豆が使われているという事実は、私たちが普段何気なく飲んでいるコーヒーの背景にある膨大な努力と工夫を物語っています。
コーヒー農家が丁寧に育てた1粒1粒の豆が、焙煎師の技術によって最適に処理され、最終的に私たちの手元に届く~そのプロセスを思うと、1杯のコーヒーがより特別なものに感じられませんか?
次回コーヒーを飲むときは、ぜひカップの中に70~80粒の豆の物語が詰まっていることを思い出してみてください。
きっと、いつものコーヒーがより深い味わいに感じられるはずです。